弁護士コラム

詐欺的情報商材被害について

2018年10月27日  中島俊明  未分類, 消費者問題 

去年頃から、「1日数分の作業で月に数百万円を稼ぐ」「○万円が○億円になる投資法」といったお金儲儲けのノウハウと称して、インターネット等で取引される詐欺的情報商材に関連する相談が増加して、当事務所にも多数の相談が寄せられています。

 

 

情報商材被害と呼ばれるものは大きく分けて3種類あります。
①副業に関するもの(アフィリエイト、ドロップシッピング、ネットオークションやフリマアプリを利用したもの等)
②投資に関するもの(値上がりする株の情報提供、FX等の自動売買ソフト、仮想通貨やバイナリ-オプションを利用したものなど)
③ギャンブルに関するもの(競馬必勝法、パチンコ必勝法)
これ以外に小数ではありますが、セミナー型の自己啓発といったタイプの被害類型もあります。

私の経験上、よく見る情報商材被害の特徴は下記とおりです。

①1万円~2万円前後の安価な情報商材を最初に購入させ、さらに高額な契約を勧めるケース。
②万全のサポートを謳いながら、実際にはサポートが受けられないケース。
③ダイレクトメールやSNSがきっかけに勧誘が始まるケース。SNS上で情報商材を宣伝するサクラがいることもある。
④商品内容が説明と異なり、実際には儲からない(これはほぼ全部の相談事例に共通)。
⑤返金保証を前面に出しているが、実際には理由をつけたり、複雑な返金条件が規約にあったりするなどして返金に応じないケース(私自身の事件処理としても、業者のいう返金保証が決め手となって解決した事例はありません。)。
⑥投資必勝法で複数の顧客に同一銘柄の買いを推奨することで株価を一時的に急騰させ、それを実績として信用させるケース。
⑦勧誘が強引で、欺瞞的な勧誘が行われるケース。
⑧クレジットカードを利用させるなどして手元資金がない人にも高額の契約をさせるケース。


誰でも簡単に儲かるノウハウやソフトなんてありません。

仮にあったとしても、インターネットで易々と手に入るようなものではありません。
「インターネット」、「投資」、「副業」といった言葉に甘い夢を抱いてはいけません。

お金のことが心配で、悩んでいる方は多いと思います。
それでもこれだけ詐欺的情報商材が蔓延している状況下で、情報商材に手を出すのは危険です。
怪しい儲け話・情報商材には手を出さないでください。


もし、騙されてしまった場合、相談するのが早ければ早いほど救済の可能性があります。

怪しい情報商材でクレジットカードを利用してしまったり、お金を振り込んでしまった場合には、
できるだけ早期に当事務所にご相談ください。

サクラサイト被害救済の実務

2018年1月27日  中島俊明  消費者問題, 読書・学習 

少し投稿が遅くなりましたが、平成29年11月19日にサクラサイト全国連絡協議会が編集した「サクラサイト被害救済の実務」が民事法研究会より発刊されました。私も、コラムを1つだけ書かせて頂いています。内容については、サクラサイト被害の手口から法的な主張、サクラサイト被害の特色である多様な決済手段についての対応方法など多岐に渡っています。

私は、平成23年7月の初期の段階からからサクラサイト全国連絡協議会に参加しており、議論の経過をずっと見てきたというところがあり、この本に書かれている内容にどこか懐かしさを感じながら読んでいるところがあります。

この本には、個々の事件を通じた経験に基づく情報が沢山記載されており、とても実践的な本となっています。特にクレジットカードの決済代行、電子マネー、コンビニ収納代行など新しい決済手段とその対応方法についての情報は有益だと思います。

この本がサクラサイト被害をはじめとする消費者被害救済におけるノウハウの進化に繋がればよいと思います。

日弁連ライブ実務研修「2016改正割賦販売法の活用」について 

2018年1月9日  中島俊明  イベント, 未分類, 委員会活動, 消費者問題 

平成29年11月28日に日弁連で「2016改正割賦販売法の活用」についてと題して
「ライブ実務研修」という講演を行ってきました。

今回の講演では、元々平成28年12月に改正された割賦販売法と、
その成立後に定められる政省令の改正について講義を行うことになっていました。
ただ、実際には政省令の改正がこちらが想定していたものより遅く、
この講演のレジュメの締切時点ではパブリックコメントはなされていたものの、
最終的に確定した政省令は発表されていませんでした。
そこで、今回の講義ではパブリックコメントで示された政省令案をもとに講義をせざるえませんでした。
なお、講義の翌日11月29日に政省令の確定版が公表されたようです(少々ショックを受けました)。

このように少し残念な面があったり、当日緊張しすぎてしまったという反省はあるものの、
貴重な機会を与えて頂けたことに感謝しています。何より自分自身にとっても大きく勉強になりました。

今回の割賦販売法の改正では、
それまで法律上の規定のなかった決済代行業者に対する任意登録制や
クレジットカード番号等取扱契約締結事業者の加盟店調査義務等の重要な改正が含まれています。
消費者問題を取扱うのならば今回の改正法は押さえておかなければならないと思います。

講義の準備をしていて、割賦販売法という法律は極めて読みにくいと改めて実感しました。
用語が複雑で、枝番の条文が多数(35条の17の2等)、政省令への委任多数などなど。
従前の割賦販売法でも十分に読みにくかったのですが、
改正法で政省令もろとももっと複雑になってしまいました。
割賦販売法はクレジットを利用する消費者のための法律という側面があるのですが、
この読みにくさは消費者にも、それを利用する弁護士にも優しくありません。
今度改正するときはもう少し読みやすいものにしてほしいものです。

講演「特定商取引法の判例を活用する ~クーリングオフの成否を中心に~」@滋賀弁護士会

2017年11月29日  中島俊明  イベント, 消費者問題 

平成29年11月21日に滋賀弁護士会で、2時間ほどお時間を頂きまして「特定商取引法の判例を活用する ~クーリングオフの成否を中心に~」と題する講演をさせて頂きました。講演のの内容は、①クーリングオフの意義や効果、②クーリングオフの要件事実、③比較的新しい7つのクーリングオフの判例の紹介で、クーリングオフに特化した講演としました。

今回は判例を中心に学習したいとのご依頼を受けていました。そこで、判例を単に並べて紹介するだけではなく、要件事実と併せて勉強すると良いのではないかと思い、今まであまり整理をしていなかったクーリングオフの要件事実を学習して、講演の内容に盛り込みました。結果として判例や要件事実といった実務で即した実践的な内容の講演にできたのではないかと思います。滋賀弁護士会の先生方からも勉強になったとの声を頂くとともに、沢山の質疑応答をさせていただくことができました。

私自身、クーリングオフの判例をここまでたくさん読み込んだのも久しぶりでしたし、要件事実を整理することで一段深くクーリングオフを理解することができました。今回講演をさせていただく機会を持てて本当に良かったと思いますし、このような機会を与えてくださった滋賀弁護士会の先生方に深く感謝しています。本当にありがとうございました。

大学コンソーシアム京都・単位互換科目「消費者問題2017」の講師をしてきました。

2017年9月7日  中島俊明  イベント, 消費者問題 

9月7日(水)大学コンソーシアム京都において,単位互換科目「消費者問題2017」の講師を担当させていただきました。私の講義テーマは,「インターネット契約トラブル」というテーマで1コマ分の講師をやらせて頂きました。事前に準備したレジュメとパワーポイントを使って,30名以上の大学生に向けて「インターネットにまつわる消費者トラブル」と「弁護士の仕事」について講義させていただきました。

私自身、インターネットを使った消費者トラブルに関心を持ち、何件もの事件にかかわらせて頂いていることもあって,楽しみながら講義することができました。また、学生の皆様がこちらから問いかけた質問に一生懸命考えながら回答してくださったり、真面目に聴いて下さったので、充実感を感じながら講義をすることができました。それにしても学生時代というのはいいですね。学生の皆様の夢と希望と未来に溢れる姿に元気をもらいました。講義に協力してくださった。学生の皆様に深く感謝しています。今日の講義が少しでも学生の皆様の糧になればと思います。

また、このような機会をあたえてくださった、コンシューマーズ京都の皆様、担当大学の同志社大学の皆様、本当にありがとうございました。

 

全国一斉 銀行カードローン問題ホットライン【8月1日(火)10時~16時】

2017年7月31日  中島俊明  イベント, 未分類, 委員会活動, 消費者問題 

2017年(平成29年)8月1日に、京都弁護士会館で、【全国一斉 銀行カードローン問題ホットライン】(=弁護士による電話無料相談)を開催されます。時間は10時~16時です。電話番号は0570-073-316です。

貸金業法の総量規制の対象外とされた銀行による消費者向け貸付け(銀行カードローン)が急激に増えています。最近、銀行による消費者向けの貸付けの問題はようやく社会的にも認識されつつあります。「銀行のカードローンは総量規制の対象外です」,「最大500万円 所得証明書一切不要」などと、貸金業法の適用対象外であることを強調した宣伝・広告がなされてい情報もあります。そして、銀行等が行う消費者向け貸付けが顧客にとって過剰な貸付けとなっているケースも判明しており、その影響からか2016年(平成28年)には、13年ぶりに自己破産申立件数が増加しています。

今回のホットラインは、このような事態を受けて、京都弁護士会を含む全国の弁護士会が一斉にホットライン(無料電話相談)を企画し、行カードローンの借入れについて問題のある方、心配のある方、その家族らなどからの相談に応じるとともに、実態を把握するために行うものです。

私の印象でも債務整理の相談を聞いていると銀行からの債務を抱えている人が多くなっています。それでいて,銀行カードローンには、ローンには消費者金融業者の保証がついていることが多く、この場合、消費者が滞納が一定程度に達すると消費者金融が銀行に代位弁済を行い、その後の消費者への取立業務をを消費者金融業者が行うことになっています。結局滞納すると消費者金融業者の取り立てに直面するのです。任意整理の場面でも受任通知を送るとすぐに消費者金融業者が代位弁済してきて、銀行ではなく消費者金融業者と交渉することが多々あります。銀行カードローン問題は結局のところ、消費者金融業者による多重債務問題が銀行に看板を付け替えただけで、根っこは同じなのだと考えています。

私もホットラインの担当をすることになっています。精一杯対応させて頂きますので、銀行カードローンの借り入れでお悩みの方、是非銀行カードローン問題ホットラインをご利用ください。

 

北部会員を囲む懇談会に参加して

2017年7月16日  中島俊明  委員会活動, 消費者問題 

7月15日(土)に舞鶴で行われました「北部会員を囲む懇談会」に消サラ委員会の委員長として出席してきました。今回は,消サラ委員会の方から北部の皆様から意見を伺う必要があったため出席しました。他の委員会からも沢山の参加者が来ており,また北部会員の皆様も沢山集まって頂き,懇談会だけでなく,懇親会や二次会も含めて役員の皆様や北部の皆様と忌憚のない意見交換をすることができました。

今回初めて北部会員を囲む懇談会に参加したのですが,福知山や舞鶴での相談で北部の先生方にお世話になっていることを実感するとともに,北部地域でクレサラ被害、消費者被害に悩まれている方々がきちんと弁護士へアクセスできるような体制をきちんとつくっていきたいと強く思いました。

せっかく舞鶴までいったのに,海を堪能する時間がありませんでした。

次来るときには舞鶴の海を楽しみたいと思います。

「新道消費者トラブル撃退作戦」に参加して

2017年7月13日  中島俊明  イベント, 未分類, 消費者問題 

少し時間が経過してしまいましたが,7月5日に京都弁護士会と東山区新道学区がコラボして行われた,「新道消費者トラブル撃退作戦」に参加しました。これは,高齢化が進む新道学区で京都弁護士会が作成した訪問取引お断りステッカーを全戸配布する取組です。

開始式では,新道学区自治会長や京都弁護士会会長の挨拶とともに,ステッカーについての説明が行われました。開始式後、数軒のお宅を訪問して舞妓さんからステッカーとステッカーについて説明が書かれたリーフレットが配布されました。私は,開始式の後ろの方で垂れ幕を持って立っていました。このイベントは,テレビやニュースで報道され,少しの間だけ身体の一部だけですが,垂れ幕を持っているところを映ることができました。

このイベントは,長い時間をかけて身近な先生達が尽力してきた結果実現したもので,無事に成功して良かったです。ありがいことに、最近,私もステッカー配布のために様々な場所で説明をさせていただく機会が増えてきています。このイベントを皮切りに訪問取引お断りステッカーが益々広めていきたいと思います。

書籍「いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン」を読んで

2017年6月18日  中島俊明  消費者問題, 読書・学習 

最近、仮想通貨を使った消費者被害の相談を受けることが増えてきました。これらの相談に対応するためには、仮想通貨の仕組を知らないといけないと考えて、仮想通貨に関する書籍「いまさら聞けないビットコインとブロックチェーン」を読みました。わかりやすく書いていたので、ビットコインやその他の通貨についてなんとなく仕組みは理解できました。

ただ、仮想通貨を使った消費者被害救済の観点について何か書いてあったわけではありませんので、具体的な事件で仮想通貨をどのように攻略していくかについてはまだまだ検討をしていかなければと思います。仮想通貨そのものにはあまり興味はありませんが、仮想通貨を使った詐欺・消費者被害の救済には興味があるので、さしあたり、自分でも仮想通貨を利用してみて、仮想通貨の利用風景を実体験してみようと思います。実際に利用してみないと相談の際に、相談者の方の説明を理解できないかもしれませんので。

フィンテックの拡大に伴い、色々な決済手段や仮想通貨が増えています。その中には怪しい仮想通貨なども多数あり、消費者被害が発生する危険性を感じています。当事務所としては、消費者被害救済の観点からフィンテックを勉強して、次々現れる新たしい問題にも適切に対処できるようにしたいと思います。

 

修学院地域の健康すこやか学級に参加しました。

2017年6月11日  中島俊明  イベント, 委員会活動, 消費者問題 

 

本日は、京都市左京区修学院地域の健康すこやか学級にて京都弁護士会が作成した「訪問取引お断りステッカー」の説明と配布を行ってきました。今回の健康すこやか学級には、概ね60代以上の約50名の方々が参加されておりました。参加されていた人々は皆さん、穏やかで良い人ばかりでした。その人柄が伝わってきて、ここに集って下さった方々には消費者被害にあってほしくないと心から思いつつステッカーについて話をさせて頂きました。皆さんが真剣に話を聞いて下さり、私自身もとても満足のいく時間を過ごすことができました。

ステッカーの流布によって、京都の中から訪問取引による被害にあうことがなくなることを願ってやみません。また、こんな良い人たちを苦しめるような消費者被害の撲滅に全力を尽くそうと改めて決意しました。

今回のイベントは一乗寺駅の周辺であったのですが、一乗寺駅というのは多くのラーメン屋がある地域なんだそうで、少し散策すると沢山のラーメン屋を目にしました。せっかくだからどこかで食べていこうと考えて、帰りにその中の一つのお店を見つけてラーメンを食して参りました。とても美味しかったです。

また、明日からも頑張ります。

サクラサイト全国連絡協議会(鹿児島大会)に参加しました。

2017年5月23日  中島俊明  未分類 

平成29年5月20日(土)にサクラサイト全国連絡協議会(鹿児島大会)が開催されました。

「サクラサイト被害対策全国協議会」は、出会い系サイトやサクラサイト被害に取り組む全国の有志の弁護士によって結成された団体です。年2回程度の全国各地で全国連絡協議会を行っています。

今回の全国連絡協議会(鹿児島大会)では「サクラサイト被害に様々な試み」という題で研究発表をさせて頂きました。業者側の目もあるので内容を公開することはできませんが、会場からも多数の質問が寄せられたり、懇親会などで「勉強になった。」との言葉を頂きました。発表した私も手応えを感じており、頑張って準備してよかったと感じています。今回の研究発表が少しでもサクラサイト被害の救済につながっていけば嬉しく思います。また、全国の弁護士の方々の活動報告などを聞くことができ、事件処理のヒントを掴むことができました。是非、次回の全国連絡協議会にも参加したいと思います。

鹿児島では、勉強だけでなく、黒豚のとんかつなどグルメも満喫しました。本当はラーメンも食べたかったのですが(美味しそうなラーメン屋を沢山見かけました。)、時間の都合で次回に持ち越しとなってしまいました。また、じっくり観光することはできませんでしたが、空港から会場へ移動する途中に目に映った鹿児島の町並みはとても上品で印象的でした。

「事例で学ぶ金融商品取引被害の救済実務」を読んで

2017年4月30日  中島俊明  消費者問題, 読書・学習 

今年の2月に京都弁護士会で行われた消費者合宿に三木先生に来て頂きご講演を頂きました。三木先生のお話を聞く前に三木先生の著作を読んでおきたいと思い、この本を読み始めました。実際は消費者合宿までに読了とはいきませんでしたが。

私自身も金融商品取引被害を業務として取り扱い、京都先物・証券取引被害研究会に所属し、全国証券問題研究会にも何度も参加しているため、大変興味深く読ませていただきました。

本書は、金融商品取引被害救済のノウハウが記載されている総論部分と具体的な事件の処理を通じたノウハウが記載されている各論部分で構成されていいます。

総論部分では事件処理に必要な知識が平易な言葉で書かれています。特に印象深かったのは、説明義務における総合判断の重要姓です。これまで全国証券問題研究会では、説明義務における総合判断の重要性については何度も言及されていたのですが、この本を読むことで理解が深まりました。

各論部分では、特に印象的だったのは被害者の属性や性格をしっかりと裁判所に理解してもらっているところです。適合性原則は、投資家の特性に着目して不適当な勧誘を行ってはならないという原則で、
適合性原則違反は、金融商品取引被害では必ずといっていいほど主張される違法要素です。適合性原則違反にあたっては顧客の特性などを裁判所に理解してもらうことが重要になります。各論で紹介されている事件の中には被害者のことをよく見て、弁護士が理解し、それを余すところなく裁判所に伝えることができているという事件が多数あり、事件処理のレベルの高さを感じました。

全体的にわかりやすい言葉で書かれていて、名著だと思います。1度読んで満足するだけでなく、これから何度も読み重ねて、この本に書いてあることを自分のものにしていきたいと思います。

消費者・サラ金被害救済センター運営委員会の委員長就任にあたって

2017年4月8日  中島俊明  ご挨拶, 委員会活動, 消費者問題 

少し時間が経ってしまいましたが、平成29年度が始まりました。
京都の桜も綺麗に咲いています。

今年度は、京都弁護士会の消費者サラ金被害救済センター運営委員会
(以下、「消サラ委員会」と言います。)の委員長を務めさせて頂くことになりました。
消サラ委員会は消費者被害とクレジット・サラ金被害の防止と救済を目的とする委員会です。

京都弁護士会では、もう一つ消費者問題を取り扱う委員会として消費者保護委員会があります。
そちらの委員会でも昨年に引き続き副委員長と信用部会の部会長を務めることになっております。
今年の消費者保護委員会の委員長は木内総合法律事務所の加藤進一郎先生です。
加藤先生は私が京都に登録替えするときからとてもお世話になり、
また尊敬している先生で、消費者問題に情熱を持って取り組んでいる先生です。

また、今年の京都弁護士会の会長は長年様々な消費者問題に
熱心に取り組んでこられた木内哲朗先生です。

木内会長のもと、加藤先生が委員長を務める消費者保護委員会と消サラ委員会が
力を合わせて頑張っていくことで、これまでにない、
色んな活動ができるのではないかと感じています。

この1年間、消費者被害とクレジット・サラ金被害の防止と救済のために、
弁護士会が果たすべき役割を考えながら、消費者の皆様、弁護士会、
この問題に関わってくださる会員の皆様、消サラ委員会の委員のために、
自分の使命を一生懸命果たして参ります。

クロレラチラシ配布差止等請求事件を振り返って(その1)

2017年4月1日  中島俊明  未分類, 消費者問題 


(健康食品のイメージ写真)

私も参加したサンクロレラ販売販売株式会社(以下、「サンクロレラ販売」と言います。)に
対する広告差止訴訟の最高裁判決が平成29年1月24日がなされました。
私にとっても一つの大きな事件になったので、忘れないうちにしっかりと検討したいと思います。

~事案の概要~
クロレラ療法研究会(以下、「クロレラ研究会」という。)は、
健康食品「クロレラ」を紹介するに、糖尿病等の疾病が改善したとする
体験談の掲載されたチラシ(以下、「研究会チラシ」と言います。)を配布していました。
そして、研究会チラシを見てクロレラ研究会に資料請求をすると
研究会とは別の組織であるはずのサンクロレラ販売から商品の資料が届く仕組みになっていました。
このような仕組みを用いて健康食品を販売しているサンクロレラ販売に対して、
適格消費者団体であるNPO法人京都消費者契約ネットワーク(以下、「KCCN」と言います。)が、
クロレラ研究会がサンクロレラ販売の一部門であり,
単なる健康食品に医薬品のような薬効があるように研究会チラシに表示するのは、
①景表法の優良誤認表示に該当する、
②または消費者契約法上の不実告知に該当する、
ことを理由に研究会チラシの配布の差止等を求めました
(改正前景表法10条1号、消費者契約法12条1項及び2項)。

~京都地方裁判所平成27年1月21日判決(第1審判決)~
第1審での争点は、
①研究会チラシを配布しているのは誰か(「事業者」の要件)、
②研究会チラシが「サンクロレラ販売の商品」のチラシといえるのか(「商品についての表示」の要件)、

③仮にそうだったとしても優良誤認表示または不実告知が認められるのか(優良誤認の要件)、
の3点です。

争点①について
サンクロレラは配布主体はクロレラ研究会であって自らは配布をしていないと主張しましたが、
京都地方裁判所は「クロレラ研究会は被告の会社組織の一部に過ぎないから,

研究会チラシを作成し配布したのは被告自身である。」として
クロレラ研究会をサンクロレラ販売の一部門と位置づけ、配布主体をサンクロレラ販売と認定しました。

争点②について
サンクロレラ販売は、チラシには「クロレラ」や「ウコギ」ということは書いてあっても、
サンクロレラ販売の商品名が記載されているわけではないと反論していました。
これに対して、裁判所は、顧客が必然的に被告商品の購入を勧誘されるという仕組みが取られている
ということを重視して、商品名の記載がなくても研究会チラシを「商品についての表示」と判断しました。

争点③について
サンクロレラ販売は,クロレラやウコギの効能効果が存在しないことを科学的に立証するのでなければ,
研究会チラシによる説明が優良誤認表示にあたるとは認められないと反論していました。
この点、裁判所は「医薬品としての承認を受けていない細胞壁破砕クロレラ粒等の被告商品につき,
医薬品的な効能効果があると表示するものであり,一般の消費者に対し,
細胞壁破砕クロレラ粒等の被告商品があたかも国により厳格に審査され
承認を受けて製造販売されている医薬品であるとの誤認を引き起こすおそれがある。
また,上記のような表示は,商品の宣伝広告として社会一般に許容される
誇張の限度を大きく踏み越えるものである。」として、優良誤認表示にあたると判断しました。

3つの争点につき以上のような判断を行い、裁判所はKCCNの差止請求を認めました。

この判決は、最高裁判決のインパクトに隠れてしまいがちですが、
①形式上他の組織が配布した広告でも実質的な広告の主体者の表示として認定される場合があること、
②商品名の具体的な表示がなくても景表法上の商品の表示に該当する場合があること、
③薬効を謳う健康食品の優良誤認性の判断枠組を示したこと、
を示したという意味で重要な判決であると思います。

とても明快な判決であり、個人的に気に入っている判決です。

この後、控訴審判決、最高裁判決についても述べていきたいと思います。

訪問取引お断りステッカー作成記念シンポジウムに参加して

2017年3月20日  中島俊明  イベント, 消費者問題 

平成29年3月18日に京都弁護士会が開催した、
訪問取引お断りステッカー作成記念シンポジウムに参加しました。

シンポジウムは京都弁護士会が訪問取引お断りステッカーを作成したことを
記念に開催されたものです。

弁護士だけでなく消費生活センターをはじめとする京都府及び京都市の職員の皆様や
京都府の老人クラブや防犯協会の方々など多数の人が参加していました。
内容も諸外国の訪問販売や電話勧誘による消費者被害の予防制度の紹介、
ステッカーの活用法の解説、寸劇など盛り沢山でした。特に寸劇は楽しかったです。

アップされた画像のとおり、
ステッカーには、着物をきた女性と犬とセールスマンが登場する
可愛いデザインが施されています。
その下には、
「このステッカーを無視して勧誘を行った場合、京都府消費生活安全条例違反となります。」
と書かれています。

ステッカーの文言を見て気になったので、根拠となる条例も調べてみました。
京都府消費生活条例15条1号は、
「消費者が拒絶の意思を示しているにもかかわらず契約を勧誘する行為」を禁止しています。
この条例は訪問販売に限定されておらず、電話による勧誘など他の勧誘形態も対象となるようです。
同条例には違反業者に対して行政からの指導や府民に対する不正情報の提供等のペナルティーが定められています。

訪問販売や電話勧誘販売には
取引等を予定していないプライベートな空間における平穏を乱し、
消費者に不意打ちで迫ることで契約に持ち込むという側面が強くあります。
また、そのような方法によって取引される商品には、
普通に店舗等で販売しても満足に売れないような
ものが多く含まれている印象があります(そのため不意打ちを仕掛けることになる。)。
このような理由から訪問販売や電話勧誘販売は消費者トラブルを招きやすい取引であるといえます。
私の経験した事件の中にも電話勧誘販売や訪問販売で重大な被害が生じていたものが多数あります。

訪問取引・電話勧誘について消費者庁が2014年度に意識調査を行ったところ、
訪問勧誘は96.2%、電話勧誘は96.4%の人が今後勧誘を全く受けたくないと回答していました。
ところが、このような国民の大多数が嫌っている勧誘を規制する法制度はありません。
平成28年5月に特定商取引法の改正があり、その際にそのような法制度の新設が模索されましたが、
事業者側の強い反対によって最終的には実現しませんでした。

シンポジウムに参加して改めて感じたのは、
消費者の声を糾合していかなければならないということでした。
事業者側は、規制が設けられれば自らの収入や利益に直結しますし、
その利益は多くの事業者に共通するので、団結は比較的容易です。
しかし、消費者側は新たな規制を設けるために頑張っても直接的な利益などはありません。
重大な消費者被害などが世間の耳目を集めることはありますが、
どうしても散発的、一時的なものになりがちというのが実情です。
ただ、団結する体制を整えておかなければいつまでも消費者側は弱いままであり、
どこかで泣き寝入りを強制されるということが続いてしまいます。
取引や契約の場では消費者は事業者よりも弱い立場にあると言われていますが、
よりマクロ的な視点(集団としての企業や事業者と消費者)でもそのことは同じではないかと感じています。
だからこそ、前回の改正では事業者の反対を押し切ることができなかったのです。

今回のステッカーが訪問取引被害の予防につながるとともに、
消費者問題について話すツールになって、
消費者の連帯を強めるきっかけになれば良いと思います。
私もステッカーを1枚もらいましたので、
綺麗なまま携帯して、様々なところでステッカーについて語ってみようと思います。

最後になりますが、今回のシンポジウムを中心になった実現してくださった、
消費者保護委員会の不招請勧誘禁止部会の皆さんに深く感謝します。

 

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