弁護士コラム

クロレラチラシ配布差止等請求事件を振り返って(その1)

2017年4月1日  中島俊明  未分類, 消費者問題 


(健康食品のイメージ写真)

私も参加したサンクロレラ販売販売株式会社(以下、「サンクロレラ販売」と言います。)に
対する広告差止訴訟の最高裁判決が平成29年1月24日がなされました。
私にとっても一つの大きな事件になったので、忘れないうちにしっかりと検討したいと思います。

~事案の概要~
クロレラ療法研究会(以下、「クロレラ研究会」という。)は、
健康食品「クロレラ」を紹介するに、糖尿病等の疾病が改善したとする
体験談の掲載されたチラシ(以下、「研究会チラシ」と言います。)を配布していました。
そして、研究会チラシを見てクロレラ研究会に資料請求をすると
研究会とは別の組織であるはずのサンクロレラ販売から商品の資料が届く仕組みになっていました。
このような仕組みを用いて健康食品を販売しているサンクロレラ販売に対して、
適格消費者団体であるNPO法人京都消費者契約ネットワーク(以下、「KCCN」と言います。)が、
クロレラ研究会がサンクロレラ販売の一部門であり,
単なる健康食品に医薬品のような薬効があるように研究会チラシに表示するのは、
①景表法の優良誤認表示に該当する、
②または消費者契約法上の不実告知に該当する、
ことを理由に研究会チラシの配布の差止等を求めました
(改正前景表法10条1号、消費者契約法12条1項及び2項)。

~京都地方裁判所平成27年1月21日判決(第1審判決)~
第1審での争点は、
①研究会チラシを配布しているのは誰か(「事業者」の要件)、
②研究会チラシが「サンクロレラ販売の商品」のチラシといえるのか(「商品についての表示」の要件)、

③仮にそうだったとしても優良誤認表示または不実告知が認められるのか(優良誤認の要件)、
の3点です。

争点①について
サンクロレラは配布主体はクロレラ研究会であって自らは配布をしていないと主張しましたが、
京都地方裁判所は「クロレラ研究会は被告の会社組織の一部に過ぎないから,

研究会チラシを作成し配布したのは被告自身である。」として
クロレラ研究会をサンクロレラ販売の一部門と位置づけ、配布主体をサンクロレラ販売と認定しました。

争点②について
サンクロレラ販売は、チラシには「クロレラ」や「ウコギ」ということは書いてあっても、
サンクロレラ販売の商品名が記載されているわけではないと反論していました。
これに対して、裁判所は、顧客が必然的に被告商品の購入を勧誘されるという仕組みが取られている
ということを重視して、商品名の記載がなくても研究会チラシを「商品についての表示」と判断しました。

争点③について
サンクロレラ販売は,クロレラやウコギの効能効果が存在しないことを科学的に立証するのでなければ,
研究会チラシによる説明が優良誤認表示にあたるとは認められないと反論していました。
この点、裁判所は「医薬品としての承認を受けていない細胞壁破砕クロレラ粒等の被告商品につき,
医薬品的な効能効果があると表示するものであり,一般の消費者に対し,
細胞壁破砕クロレラ粒等の被告商品があたかも国により厳格に審査され
承認を受けて製造販売されている医薬品であるとの誤認を引き起こすおそれがある。
また,上記のような表示は,商品の宣伝広告として社会一般に許容される
誇張の限度を大きく踏み越えるものである。」として、優良誤認表示にあたると判断しました。

3つの争点につき以上のような判断を行い、裁判所はKCCNの差止請求を認めました。

この判決は、最高裁判決のインパクトに隠れてしまいがちですが、
①形式上他の組織が配布した広告でも実質的な広告の主体者の表示として認定される場合があること、
②商品名の具体的な表示がなくても景表法上の商品の表示に該当する場合があること、
③薬効を謳う健康食品の優良誤認性の判断枠組を示したこと、
を示したという意味で重要な判決であると思います。

とても明快な判決であり、個人的に気に入っている判決です。

この後、控訴審判決、最高裁判決についても述べていきたいと思います。

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