弁護士コラム

2017年03月

訪問取引お断りステッカー作成記念シンポジウムに参加して

2017年3月20日  中島俊明  イベント, 消費者問題 

平成29年3月18日に京都弁護士会が開催した、
訪問取引お断りステッカー作成記念シンポジウムに参加しました。

シンポジウムは京都弁護士会が訪問取引お断りステッカーを作成したことを
記念に開催されたものです。

弁護士だけでなく消費生活センターをはじめとする京都府及び京都市の職員の皆様や
京都府の老人クラブや防犯協会の方々など多数の人が参加していました。
内容も諸外国の訪問販売や電話勧誘による消費者被害の予防制度の紹介、
ステッカーの活用法の解説、寸劇など盛り沢山でした。特に寸劇は楽しかったです。

アップされた画像のとおり、
ステッカーには、着物をきた女性と犬とセールスマンが登場する
可愛いデザインが施されています。
その下には、
「このステッカーを無視して勧誘を行った場合、京都府消費生活安全条例違反となります。」
と書かれています。

ステッカーの文言を見て気になったので、根拠となる条例も調べてみました。
京都府消費生活条例15条1号は、
「消費者が拒絶の意思を示しているにもかかわらず契約を勧誘する行為」を禁止しています。
この条例は訪問販売に限定されておらず、電話による勧誘など他の勧誘形態も対象となるようです。
同条例には違反業者に対して行政からの指導や府民に対する不正情報の提供等のペナルティーが定められています。

訪問販売や電話勧誘販売には
取引等を予定していないプライベートな空間における平穏を乱し、
消費者に不意打ちで迫ることで契約に持ち込むという側面が強くあります。
また、そのような方法によって取引される商品には、
普通に店舗等で販売しても満足に売れないような
ものが多く含まれている印象があります(そのため不意打ちを仕掛けることになる。)。
このような理由から訪問販売や電話勧誘販売は消費者トラブルを招きやすい取引であるといえます。
私の経験した事件の中にも電話勧誘販売や訪問販売で重大な被害が生じていたものが多数あります。

訪問取引・電話勧誘について消費者庁が2014年度に意識調査を行ったところ、
訪問勧誘は96.2%、電話勧誘は96.4%の人が今後勧誘を全く受けたくないと回答していました。
ところが、このような国民の大多数が嫌っている勧誘を規制する法制度はありません。
平成28年5月に特定商取引法の改正があり、その際にそのような法制度の新設が模索されましたが、
事業者側の強い反対によって最終的には実現しませんでした。

シンポジウムに参加して改めて感じたのは、
消費者の声を糾合していかなければならないということでした。
事業者側は、規制が設けられれば自らの収入や利益に直結しますし、
その利益は多くの事業者に共通するので、団結は比較的容易です。
しかし、消費者側は新たな規制を設けるために頑張っても直接的な利益などはありません。
重大な消費者被害などが世間の耳目を集めることはありますが、
どうしても散発的、一時的なものになりがちというのが実情です。
ただ、団結する体制を整えておかなければいつまでも消費者側は弱いままであり、
どこかで泣き寝入りを強制されるということが続いてしまいます。
取引や契約の場では消費者は事業者よりも弱い立場にあると言われていますが、
よりマクロ的な視点(集団としての企業や事業者と消費者)でもそのことは同じではないかと感じています。
だからこそ、前回の改正では事業者の反対を押し切ることができなかったのです。

今回のステッカーが訪問取引被害の予防につながるとともに、
消費者問題について話すツールになって、
消費者の連帯を強めるきっかけになれば良いと思います。
私もステッカーを1枚もらいましたので、
綺麗なまま携帯して、様々なところでステッカーについて語ってみようと思います。

最後になりますが、今回のシンポジウムを中心になった実現してくださった、
消費者保護委員会の不招請勧誘禁止部会の皆さんに深く感謝します。

 

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